幸せを噛みしめるとき

 あるワークショップに参加してみた。
 テーマは「自分に幸せの感覚を呼び起こす」というもの。普段、幸せだなぁという事はなかなか実感できずにいても、あの時は・・・と思い起こせば実は幸せだったことに気づくこともある。そんなワーク。        過去のある時点の幸せだったことを各自が思い出して、その自分の想い出とつながるカードをそれぞれが自由に選ぶ。そのカードを使いながら同じグループの人に話してみて、みんなでその人のストーリーを共有する。

 一つ目は、冬の間にはじっと地中で成長がみられなかった草花が、春の陽気になったとたん、朝夕でも見違えるほど、グングンと成長しだしたこと。こんなにも、中にエネルギーを貯めてたんだ!ということに驚きや嬉しさとその姿に立ち会える幸せを話した。

 二つ目は、昔の職場の仲間たちとほぼ10年ぶりに再会した時のこと。みんなで食事をするからおいでよ!という誘いに是非とも!とふたつ返事で参加。10年の月日をあっさり超えて、皆で笑い合う。何も変わっていないね!とお互いに受け入れ合うその温かさに幸せを感じた。

 三つめは、就職で離れた実家に16年ぶりに戻った春の日。近くの公園を散歩しながら、「あぁ~幸せだぁ~!」と思わず声が出た。私が色々と考え、悩み、泣き、笑いしている間もずっとここで、毎年季節になると咲き誇った桜は、変わらずここにあった。その下を歩きながら、戻ってきたよ~!と嬉しさと幸せに包まれながら歩いた日を思い出していた。
 ふと3つの出来事の共通点に気が付いた。
 何があっても無くても、同じように時は刻まれて過ぎていく。しかし、その間にどんな人にも経験という色々なエネルギーは蓄えられ、知らず知らず変化し豊かになっている。それは、大きな変化として、外には現れないかもしれない。また、本人は気が付かないかもしれない。それでも、自分が素になれる帰る場所は、そこにずっとあり続け、居続けてくれる事で、逆に自分の変化や大事にしていたものに気づかせてくれるのかもしれない。
 私が大切にしている事は、大切な人、事、物との繋がりを大切にし続ける事。普段は心の中にそっと持ち続けて、特に取り出したりしなくても、いざという時には、必ず取り出すもの。それらが、自分を慰め、癒し、応援し続けている様に感じた。私にとっての幸せってこういう事かもしれない、としみじみと噛みしめる日になった。

 何があなたに、幸せを呼び起こしますか?

2024/4/23