たかが「挨拶」、されど。

 昨日のミーティング終了時のこと。
「それでは、よろしくお願いいたします!」と言って、双方が画面から退出する際(このミーティングはZoom、WEBシステムを介して行われていた。)、先方の方々が実際に頭を下げながら去って行かれれる際の、素敵な笑顔が印象に残った。(あぁ、このプロジェクトは楽しみだな)という気持ちで私も画面を閉じた。

 数年前、私がある組織を退社する最後の日に、その会社の専務と話す機会があった。専務とは仕事上で接点が無く、これが最初で最後にお話する機会だったのだが、その方が「これから、あなたの元気な朝の挨拶が聞けなくなるなんて、本当に残念だわ」と仰っていただいた事に、正直、驚いた。
 
 私の席は、メインの出入口に対して正面を向いていた。どんな時も人の出入りが目に入る場所で、専務のみならず、特に出勤時は入ってこられた人に「おはようございます!」と挨拶をしていたのだった。専務はそれに対し、特に顔をあげられる訳でもなかったが、入る時には一旦立ち止まり、必ず頭を下げてから入ってこられた。その時に、私の声を聞いておられたのだった。

 それを聞いて私は(その時に、言ってもらえたら・・・)と、残念に思った。私が挨拶をする、それに呼応して顔を合わせて「おはよう!」。これこそ、私がここに居る事にあなたは気付き、あなたが来たことに私も気づいた、というコミュニケーションにおける相互の言葉の受け止め(キャッチボール)であり、お互いにとって存在の承認である。
 顔をあわせ、笑顔で、明るく挨拶をする。それだけで、どれだけ気持ちよく今日を始められるだろうか。
 
 リーダーの方が仰る言葉に「承認、って褒める事ですよね。相手の褒めるところが見つからないんですけど」というのがある。そもそも「承認」は褒める事だけではない。相手の存在そのものを「○○さん、おはよう!」、自分がどう思っているかを「いつも元気でいてくれてありがとう!」を伝える事、それが言われた人にとっての承認になり、心理的安全性も高まる。


 基本的に「ただ思っている事」は、人には伝わらないと私は、思っている。(言わなくてもわかっているだろう)ではコミュニケーションとしては成立していない。関係性を築きたい人との間には、まずその存在をお互いに承認しあうために声を掛け合い、想いを言葉で伝え合う。日々の地道な行動が、向き合う人々の間に強固な信頼に基づいた関係性を創り上げていく。
 「おはよう!いつも元気に挨拶をありがとう!」
 たったそれだけでも、こんな言葉をかけてもらえていたら。私の日々の仕事へ取り組む姿勢に少し変化があったかもしれない、と思える出来事でした。

 あなたが向き合うその人との間にある関係性を、どうしたいと思っていますか?

2024/2/27