本人に直接尋ねてみる
コーチングセッション(対話)をしていると、クライアント(お客様)が良くおっしゃる言葉に、「多分、彼(彼女)はそう思っていると思うんですよね。」というのがある。
「思うんですよね」と言っている通り、その会話の中の相手の方の雰囲気、表情やそれまでの経緯からそのクライアントが感じ取っている事である。でも、「感じ取っている」と表現した通り、それは話をしていた相手(彼や彼女の事)の気持ちや感情をクライアントが想像しているだけで、直接その相手に確認した訳ではない。
その言葉を聞くと、コーチである私はそのクライアントに直接確認してみる。
コーチ(私):「何からあなたはそう【思った】のでしょうか?」
クライアント:「何となく、そんな表情だったから」
コーチ(私):「では、そのお相手はその時に何を考えていたと【思われ】ますか?」
クライアント:「そうだなぁ。・・・きいてみないと判らないですね。」
確かに、対話をしている二人の関係性、例えば上司・部下や、営業担当と取引先担当者等、上下関係や微妙な関係性(いわゆる難しい人)等、直接その真意をきくには勇気がいる場合や、きけない場合も多々あるだろう。
でも、ここで大切だと思うのは、相手の考えや想いを直接・正確に確認しない事で失うものもあると言う事だ。
職場での人間関係では、双方の意図や想いが十分に確認されないこんな場面があるだろう。
例えば、上司は指示の意図を一方的に伝えるも、部下が理解できたかを確認をせず、部下はその意図を十分に確認できないために見当違いな事をやり、「そうじゃないだろう!何度言ったら判るんだ!」と上司が叱責する。双方は理解し合えないまま関係は冷え切り、更に大きな溝が出来ていく。益々、部下は委縮し指示を待つばかりになるだろう。
では、相手に現れたその表情や発言の真意を確認するには、どうしたらいいだろうか?
私はその本人に「直接きく」しかないと思っている。どんなにじっくり観察しても、心の内はその本人にしか判らないと思っているからだ。でも。と二の足を踏でいる人がいるだろう。それは、「直接きけない人間関係」がそこにあるからだ。
私たちがどんな事でも「なんで?」と躊躇なくきける人を思い出してほしい。その人には、あなたが思っている事を素直に表わし、相手からもその心の内を打ち明けてくれるのではないか。更に、それを言った本人の意図を「何故、そう思ったの?」や「どういう意味?」と直接本人に確認して、真意や本当の気持ちをきいてはいないだろうか。そうやって二人の間のずれを確認し、修正して共に同じ方向をみたり想いを共有しているのだと思う。
職場のあの人の気になる表情について、あなたは何をしますか?

