「その人」を知る
家族、知人、職場の同僚。
その人との関係が長ければ長い程、特に家族や職場の同僚とは長期間一緒にいるため、私たちは当然ながら「知っている」と思い込んでいる。
本当にそうだろうか?
私が30歳過ぎになるまで「小豆が嫌い」ということを、父は知らなかったと言って驚いていた。彼は無類の甘いもの好きで、幼い私たち姉弟に、どやらき、まんじゅう、おはぎ等自分の大好きな物を買ってきては、美味しそうに食べていた。嬉しそうな父親に隠れて、私は小豆の付いていない皮だけをかじってタップリ小豆の乗った中心部分を母親に押し付けて毎回しのいでした。躾に厳しい父親に「小豆が嫌い」と決して言えなかったのだ。
家族ですら、子供の学校での対人関係、先生との関係を親がすべて把握している・する事は非常に困難だ。だからこそ、親たちは「学校はどう?先生はどう?」と子供を観察し、声を掛け、話を聴いてやるのだろう。
職場ではどうだろう。あなたの隣の同僚や上司について、あなたはどの程度知っているだろうか?もちろん、その人の本当の100%を知る事は恐らく出来ない。そもそもその人自身も「自分自身」について完全に把握できてもいない事があるからだ。
では、そもそもその人を「知ろう」としているだろうか?その人となりに関心を持っているだろうか?一緒に仕事をしている同僚が上司が、何が得意でどんな事が苦手なのか。そんな事は仕事をする上で関係ない、と思っていないだろうか?
私たちは職場で多くの人と関わりながら、一緒になって会社の存在意義や目的に向かって仕事を進めている。その職場でストレスを生んでいる原因の一つは、対人関係なのだ*。きっとあなたにも思い当たるはずだ。
隣の同僚が苦手な事で苦労している時、それをあなたに言えればお互いに助け合えるかもしれない。逆にあなたが苦手な事を、隣の同僚が既に完成させていて、あなたとその事を共有できれば、あなたはその時間を別の事に有効に使えるかもしれない。そんな風にお互いを知り合い、話し合い、協力しあう事が共に働く事の意味であり、醍醐味ではないだろうか?また、対人関係のストレスが軽減される事で、生産性も上がるのではないだろうか。
あなたの隣の同僚や上司を知るために、今日、どんな事をしますか?
*参考:厚生労働省 令和3年 労働安全衛生調査(実態調査) 就業形態別(正社員)
強いストレスの内容 ①仕事の量 45.6% ②仕事の質 36% ③対人関係 24.8%他

