違う選択をしてみる

 常にコンタクトレンズをしている。眼鏡やコンタクトレンズ無しでは、何も見えない位視力が悪い。
 そんな私が、久しぶりに眼鏡を買い替える事にした。最近は災害も多いし、災害が深夜の就寝中に発生したら、コンタクトレンズを付けられないかもしれないと思ったのがきっかけだ。
 さっそく眼科で眼鏡の処方箋を作っていただき、さてその足で眼鏡屋に行こうかと思ったが、何となく眼鏡屋をちょっと調べてから行こうと思い直した。

 「眼鏡屋」と言っても自分が知っている店だけでもいくつかある。以前も眼鏡屋に入って、色々と掛けて試してみたが、結局どれがいいのか自分でも判らなくなってきた。それで、結局これにしようかと思った物は、今も使っている物とほとんど同じデザインで、しかも同じような色合いのものだった。その事に気が付いた私は、さんざん迷った挙句に、そのメガネを置いて眼鏡屋を出た。新しい眼鏡をせっかく買うのだからと思った割には、選んだ物が依然と代り映えしない事に、なんだかとても落胆した。
 その事を思い出していた。と、同時に友人がある店で眼鏡を作る際に、「AIが自分に似合うと勧めてくれたものを買ってみた」、と言っていたことを思い出した。「AI」が似合う眼鏡を勧める??と思いながら、その店のHPを開いてみた。そこには色々な形状、材質の眼鏡があってこんなに多品種、多色の眼鏡の中からどう選べばいいのだ、と困惑していた。そうだ!と思い直し、どこかに私に似合うものを勧めてくれるボタンがあるはずだ、とよく画面上を見てみると眼鏡マークがある。そして、両目の距離を入力する箇所にも気が付いた。そして、enter!
さっきまで、一覧になっていた眼鏡の横に一斉に「似合い度」なるものが表示された。驚いた。
 
 早速、その「似合い度」を見ていく。更に驚いた。自分が好きな形は四角に角ばっていて、レンズが小さめのシャープに見えるものだ。ところが、それらは軒並み60%から70%程度、似合わないとは言わないまでも、まぁまぁと言われるレベルなのだ。そこで、何が最もお勧めなのだろうとどんどん見ていくとついに、100%!が現れた。
 更に更に驚いた。恐らく自分では手に取らず、目も止めないような商品だったのだ。レンズは丸く大き目の形状で、レンズ上半分のフレーム部分が黒色で、下半分の部分が黒と白のマーブルの様な商品が、AIから私への100%似合うお勧め商品だったのだ。その形状の商品には色違いもある中でこれが最も似合う、と判断されたのだった。

 その眼鏡を眺めながら、洋服でも食事でも仕事でも自分の好き!で選べばいいと思う。それが心地よく、着慣れた洋服の様に落ち着く事は間違いがないだろう。迷う時には「自分が好き」という基準は、絶対的なものに感じる。しかし、私が自分で選んだ眼鏡が大して違いもなく新鮮味に欠けた事に落胆したように、自分の慣れたいつもの選択に疑問を抱いた時や飽きた時は、もしかしたら新しい道が開けるチャンスなのかもしれない。いつも迷わず右に曲がった道を、今日は左に行ってみる。そこ先に、昨日の選択と違う今日が待っているとしたら?

 「AIが太鼓判を押した眼鏡」を掛けた私は、どんな気分だろうかと想像している。
 あなたのいつもと違う選択って何ですか?
 

2023/6/9