緊張する、ときに。

 何かにつけ、酷く緊張をする。
 多くの人の前で話をするような場面のみならず、初めての人に会う、電話を掛ける(初対面でなくとも)初めての場所に行く、といった様々な場面や事柄に緊張をする。
 何がそうさせるのか?私だけなのか?と思い、色々な人に訊いてみると、やはり初めての事をやる時や、その人にとって大事な場面や事柄に向かい合う時に、多くの人も緊張するようだ。
 そう言えば、例えばアスリート。先日みた2023年WBCのビデオの中である選手が「俺は緊張しないと筋肉が固くならず、力が入らない」と言っていたのには驚いた。別の機会に聞いた話でも「緊張する、とは集中していることだし、緊張は必要な事だ」と言っている人もいた。一方で、「緊張していては普段の力が出せないし、普段通りにリラックスして!」と言われる事もある。
 
 私は何故、緊張するのだろう。
 上手くできるだろうか。準備が足りているのだろうか。失敗したらどうしよう。成果を出さなければならない。失敗すると恥ずかしい。上手にやれる、凄いと思われたい。カッコいい自分でいたい等々。緊張の原因は、不安、責任感、羞恥心、虚栄心等々、時と場合によって色々な感情が入り乱れている。
 でも、緊張している時、結局、私はどうしているのだろうか?
 毎回、緊張のあまり早口で必要以上に話してしまう自分を、最近はほんの少し客観視できるようになってきた。そして、結局「非常に緊張しているんです」と口に出してみた。(その場面では誰も信じなかったが)そうしてみると、少し落ち着いた。自分の緊張は相変わらずだけれど、相手の方からも「本当ですか?」や「実は私もです」などと心の距離が近づいたり、安心して双方が話ができる空気感が出来たのかもしれない。
 そう考えてみると、自分の緊張が相手に伝わり、その場の空気も張り詰めたものにし、その空気の中で自分が更に緊張を高める、と言う事をしていたのかもしれない。緊張をしながら、結局、私は何がしたいのだろう?と思った。
 自分が色々な場面で緊張する事は、性分や性格なのかもしれない。それを人よりも大きな事の様に捉えすぎているだけかもしれない。だとすると、「緊張する事」はある程度コントロールして付き合って行くほかない。
 
 私が緊張する理由の矛先は、すべて自分に向いている。でも、その向かい合っている人に私が本当に伝えたいのは、「上手く出来ていますか?」「私、カッコよかったですか?」ではないはずだ。その人に伝えたい「何か」が自分にはあって、どうしてもそれが伝えたいから、緊張をしながらもその場に臨んでいるはずなのだ。

 緊張しながらも立ち向う、あなたの「原動力」は何ですか? 

2023/8/11