自分の資質を知り、磨く

 Zoomを使ったあるセミナーの*ブレイクアウトルームでご一緒させていただいた参加者の方に、「笑顔で迎えていただき、安心しました」と言われた事が有る。
 
 セミナー主催者に「さぁ、ブレイクアウトルームへ行ってらっしゃい!」と参加者は送り出されるものの、セミナーによってはお互いに初めてお会いする人だ。ブレイクアウトルームが画面上で開くまで、どんな人と同じ部屋になるかは判らず、参加者は緊張しているのではないだろうか。私自身も何事も「初めて」には弱く、いつも非常に緊張している。にも拘らず、上記の様に仰っていただいた事で、私自身も安堵した。
 
 会社の初出勤、お客様に初めてご挨拶に伺う時、プロジェクトの初顔合わせ等、何らかの「初めて」に出会う機会は驚くほど多く、その度に相当に緊張している。しかし、会った人には「緊張している様には見えませんよ」と言われる事も多かった。
 自分自身を振り返ってみると、緊張する機会程、自分では知らず知らずのうちに笑顔を作っていた。恐らく、その緊張をほぐそうと本能的に笑顔を作っているのかもしれない。
 しかし、これが裏目に出た事もあった。ある時、お客様の所へ伺う先輩に同行していた時の事。いつもの様に私は緊張していた。特段私に与えられた役割もなく、先輩のやり方を学ぶための同行だったのだが、先輩の横で私の顔は笑っていたらしい。「何を笑っているんだ!」とそのお客様に、怒鳴られたのだった。
 その一件以来、「理由もなく笑顔でいる事は許されない事、失礼な事」と、私には刷り込まれた。

 様々な会社で働き、時代も変化し、今の私になった。それでも、やはり緊張する場面で「笑顔でいる」事は変わらなかった。しかし、「笑顔でいる事」を悪い意味で指摘する人はあの一件以来現れず、反対に私が笑顔でいる事を肯定的に捉えてくれる人がいたり、セッション等の場面では、向き合っている人が笑顔になる事に気が付いた。
 
 最近になって「仕事を楽しむ事、楽しんで物事を進める」という事が、私にとって大事にしている事だ、とわかった。その為には、まず一緒に仕事をする仲間と良い関係性を作り、何よりそれを楽しむ。その為にはどんな時にも笑顔やユーモアを絶やさない事。その笑顔が、仮に自分自身の緊張からきているものだとしても、私の笑顔がきっかけで場が和み、安心できる場となるなら最高じゃないか。ようやく、そう思えるようになってきた。

 今朝も「初めて」があった。その時に「笑顔でいること」を意識した。
 私が伝えたいのは、ここが安心してその方の不安を吐露できる場であると言う事。その為に私はここに居る。
今日の「初めて」を終える頃には、笑顔を見せていただけた。私は安心の場を提供し、貢献できただろうか。

 どの人にも、その人らしい特質が絶対にある。一方で、同調圧力の様にそれを良しとしない場面も多くある、と私は感じている。それでも、人生を自分のものとして歩んでいくには、自分らしい特質に気が付き、もっと磨き上げていこう、と思う。自分の特質は人から感謝されたり、褒められる等を手掛かりとして気が付く事も多い。
 その特質を磨き上げていれば、それを素晴らしいと感じてくれる人、必要としてくれる人が必ず現れる。今までの人生の中で、私が実感している事だ。これからは、自分を必要としてくれる人に、自分のこの特質で貢献していければと思っている。貢献できる他の特質も発見し、もっともっと磨きを掛けていきたい。

 感謝されたり、人から必要とされる「あなたの大事な特質」は、何ですか?

 *「ブレイクアウトルーム」:Zoom等のWeb会議システムの機能のひとつで、一堂に会した全参加者を、話し合い等がしやすい様にいくつかの小グループに分ける機能、またはその分けた小部屋の事。

2024/3/13