その人の視点に立って想いを寄せる

 経営者やリーダーの方にインタビューをさせていただく中で、「相手と自分は5:5」という言葉をとても大切にしている方の話を聞いて、人としての在り方を考えていた。
 とかく「それは常識でしょう」とか「普通はさぁ」と、日常的な会話の中で別段深く考えずに言ったりもする。その「常識」や「普通」というのは、使っている自分自身にとっての「常識」であり、「普通」という基準であり、みんな同じではないと頭の中では、判っている。つもりだ。
 それでも、うっかりそれを忘れてしまい、自分のもつ常識や普通ならこうあるべき、こうすべきに囚われている事に気がつかずに、それとは異なる対応や受け答えをした相手に違和感や怒りを覚える事がある。そんな時に、この方が教えてくださった「相手も自分も5:5」フェアだ、という考え方はスッと自分の中で腹落ちした。
 今までもよく言われてきた「相手の立場に立って」とか「相手の気持ちになって」と言われる事が、自分にとっては十分に理解が出来ず、(なった事もない立場は判らない)とか(自分は相手ではないので気持ちなんて判らない)と半ば投げやりな感じで、理解しようというより最初から放棄していたところがあった。
 
 その「相手と自分は5:5」に、私は相手の事を理解する前に自分の事も大切にしていい、という意味を受取ったからかもしれない。自分も理解されていいし、自分の想いも大切にしていい。それと同じ位相手も大事な人で、その人にも大切な想いがある、と言われれば「どんな風に思っているの?」「どうしてそう考えたの?」と、聴ける気がしたし、聴いてみたい気がしてきた。
 
 そんな事を心の中に置きながら、違いのあるお互いの考えや想いを聴きあう。そんな事が、日々の生活の中で少しずつでも広がって行けば、奪い合いや、抑圧しあうこともなく、想いを寄せ合い、相互の違いや想いを受け入れられていくのではないだろうか。そんな対話が広がる世界にすべく、私は仕事をしていこうと思えたインタビューでした。

 あなたにとって、その向かい合う人との障壁はどんな事ですか?

 

2023/12/19