思い込みは事故を起こす
「思い込みは事故を起こす」
その方はご自身の仕事に繋げて、こう説明をして下さった。
時刻表を一度だけ見て(8:56出発だな)と思う。一度だけ見てそう思い込み、出発時間を間違えるという事故を起こす。何度もしっかりと時刻表を見て、一つ一つ確認をすれば、8:56発は実は隣の欄であって、本当は8:50出発なのに、既に思い込んでいるから気が付かない。
それが、冒頭の「思い込みは事故を起こす」だと、人間関係の話の例として話して下さった。本当にそうだな、と思った。
一度だけ会っただけの人にも関わらず、最初に受けたこちら側の印象だけで、(なんていい人だ!)や(感じ悪い人!)と思ってしまう事はよくある。人生でもう二度と会わないであろう、階段ですれ違った人や、電車で、バス停で隣り合っただけの人なら、その時の印象だけでその人を判断しても問題がない事も多い。
しかし、これから勉強や仕事を一緒にする人であった場合にはどうだろう。最初にこちらが受けた印象、特にその印象が悪いものの場合に、そのまま向き合ってしまうと、こちらも構えて距離を取ってしまい、本質的で重要な話が出来ない関係のまま、すれ違ってしまう。
私の親友との事を思い出している。彼女とは大学入学早々に出会った。と、いってもその時は、私が彼女を遠くから見ただけで、言葉を交わしたわけでも、話しているのを聞いたわけでも無かった。にも関わらず、私は(あぁいう人とは、絶対に友達には成れないな)とすぐに思った。なんと私は彼女の髪形だけをみて、勝手ながら(私の周りには居ない、派手な人だ=生活や人間関係も派手な人)と思い込んだ。それが、ひょんなことから同じサークルに入り彼女と直接話す事で、彼女が入学前の美容室でパーマに失敗していた事、実はその髪型が恥ずかしくて仕方が無かった事を知った。危うく大切な親友を作りそびれる事になる所だった。
考えてみれば、「ある人」に関する印象は私の話の例の様に、向き合ったその人が受けた単なる印象であって、その「ある人」を正確に表現しているとは言えないのではないか。印象を受けた人の状況、精神状態もあるし、「ある人」の事情、例えば非常に忙しかった、焦っていた、プライベートでショックな事があった等も影響する。印象を持っている他者の声・その印象を真に受けて、「ある人」を見てしまうと幾重にも色眼鏡を掛けている様な状態で、真の「ある人」の姿は見えてこない。
その方は言った。「自分でその人ときちんと1対1で向き合い、仕事もプライベートもきっちりと話して、自分でその人の事を判断する」その職責を果たそうとする姿勢のみならず、コミュニケーションの本質を見る様な話だった。当たり前のようで、実は流されている事を自戒を込めて聴いた。
あなたが人と対峙する時に、気に掛けている事はどんな事ですか?

