自分の思い込みに気づく

 そういうことか。
 私はせっかちだ。最初から「どうしたいか」と自分なりの結論を決めている事が多いので、その答えの判断に必要だと「私が考える話」だけを相手にして、相手からはそれが出来るかできないかや、有るか無いか等の結論だけを一番に聞きたい、と思ってしまう。
 年賀状の書き損じを交換してもらう為に、郵便局へ行った。
 対応したその方は、「以前の年賀状から今年の物に交換は出来ないんですよ。」と言う。そもそも年賀状への交換(郵便局に行ったのは昨年の年末だったからか)ではなく、私は切手に交換してもらおうと思っていたので問題はない。私が「いえ、切手にして下さい」と言うと、今度は「少ない枚数の方がいいですよね。」と、残額で買える(先方からは販売できる)最小枚数になる組み合わせのパターンをいくつも考えている様だった。
 いつものせっかちな私なら「あの、1円切手で全て下さい」と自分から言ってしまって、用事を済ませてしまうところ、その時の郵便局は閑散としていて、私ものんびりした気分だったので、結論が出るのを待つことにした。
 「いただいた年賀状から、手数料を引かせていただいた残りで、110円と26円の切手各1枚になります。ゆうパックをお使いいただく際に貼っていただき、差額をお支払いいただければ使えますから。」と、使い方まで、詳細に説明していただいた。
 
 人はそれぞれの置かれた環境や状況で、色々と思い込みが有るものだなと思った。私は窓口でただ、「書き損じのハガキを交換してください」とだけ言ったのだが、対応してくださった方は
 ①この人は年賀状に交換して欲しいと思っている。
 ②切手にするなら、なるべく少ない枚数(できるだけ大きい金額で使いやすい金額の単位)がいい。
と、考えて今回の結論を提示していただいた。私が持っていった結論は、「交換手数料を差し引いた残額を全て1円切手に交換して欲しい」だったが、言わずにいたら面白い結果になった。
 
 私も(相手はこう思っているに違いない)や意識しないままに、「自分」の基準や常識によって結論を出して、相手に差し出している事がある。それが行き違いや喧嘩の原因になったりもする。私達が何かを判断する際には、多くの思い込み(例:バイアス 参考:HRMOS TREND バイアスとは?意味と使い方、種類を一覧でわかりやすく解説 - ハーモストレンド)によって、無意識のうちに事実認知が歪められて、判断に影響を与えてしまっている。しかし、多くの場合「無意識」であるが故に、自分自身の判断の前提に偏りがある事にはなかなか気づけない。
 自分自身のその思い込み等に気づく一つの方法として、誰かとそのテーマについて話し合ってみる、というのがある。上記の例についていえば、
 ①交換できるものについては、何か希望はありますか?→ 切手が希望です。(←年賀状ではない)
 ②切手はどの様に使われる事が多いですか?→ハガキや封書を送る際に使います。(←ゆうパックではない)
 ③切手には1円切手から数種類有りますが、何がご希望ですか?→全て1円切手にして下さい。(←何十枚になってもいい)
 書いてみると、私のバイアス通りに導いている様だが、相手に尋ねてみる事で自分が想像している答えと違う回答が来た時に、(え?そういうことか)や(なぜ?)となり、更にその理由や背景まで訊くと、自分が持っている思い込み等に気が付く事がある。
 自分が求める答えを最初から用意している私は、視野が狭くなっていて特にその必要がありそうだ、と言う事と、急かさずに最後まで話を聴けた事でちょっとした驚き(26円切手)に出会う事が出来た一件でした。

 あなたが、自分の思い込みに気が付いた時には、どんな発見がありましたか? 

2025/1/15