「素直力」と「頼り力」で人の幸せに私が貢献できる事は

香福屋  代表 澁谷麗子様

ご経歴

学生時代から食に関わるアルバイトを多数経験する。卒業後は学生時代の専攻であり、関心のあった旅行会社で企画・アレンジ、仕入れ、旅行のアテンド等様々な経験をする。結婚・出産を機に退職し、子育てをしながらコーヒー専門店や運送業会社等に勤務し、経理・ISOの取得に関わる経験等を重ねる。
 2009年「珈琲がつなげる、毎日の小さな幸せの時間。お家で楽しむ_珈琲のある暮し」をキーワードに「香福屋」を創業し、現在に至る。

  • Q.1.多くの業務経験の中から、コーヒー専門店を起業したのはどの様な経緯だったのでしょうか?
    A.澁谷様:身の回りにコーヒーショップは数多くあり、生活の一部になっています。私もアルバイトの休憩中に、近くのコーヒー専門店によく行っていました。
     ここで、コーヒーには多種多様な種類がある事や、コーヒーってこんな風に楽しむんだ、と言う事を改めて知りました。そこのマスターには親や兄弟、職場の方には話さない様な話をしたり、大人ってこんな風でいいんだぁ~(笑)、と強い印象と受けましたね。
     その後、子育てをしながら働く中で、旅行会社でこのまま働き続けるのは厳しいなと考えていた事もあり、2009年に以前より関心のあったコーヒー専門店を創業する事としました。
  • Q.2.創業から13年。経営上で大切にされている事は、どんなことでしょうか?
    A.澁谷様:旅行会社やコーヒー専門店等色々な業界や業種を経験してきましたが、自身の結婚や事務所の閉鎖等で強制的に働き方や、職場が変わりました。しかし、コーヒーに関してはまだ興味・関心が尽きませんね。それが、13年続いている理由だと思います。
     
     モーニング文化のある岐阜県は、ご存じの通りコーヒーショップが多くあります。その中で、実店舗を持たず、ネットのみで販売をする当社には競合他社は数知れず、お客様も県下の方ばかりではありません。そのため、当初より県産品として取り上げていただける様な「岐阜売り」としてブランディングを行って、他社との差別化を図ってきました。それが、白川郷の雪の中で熟成させる「雪の下熟成珈琲 コールドブリュー風花」の販売に繋がったと思っています。
     
     経営する上で、私が大切にしている事は「関わってくれる人に幸せになって欲しい」と言う事です。
     その為には「私、困っているんだけど、何かない?」みたいに、変なプライドを捨て、関わってくれる人達に私自身を素直にさらけ出し、その方々に頼るという、「素直力」と「頼り力」が肝心だと思っています。そうやって自分がぎゅっとこの手に握りしめている物を手放す事。そこから、自分には余裕が生まれます。その余裕が、他社や他者との人脈つくりや、自分からの発信に繋がり、まさに自分にしか出来ない事に集中する事が出来る様になるからです。
     それがめぐりめぐって結局は、関わってくださる人達の幸せに繋がるのではと考えています。
     
  • Q.3.澁谷さんが、人と向き合う時に、大切にされている事はどんな事でしょうか?
    A.澁谷様:関わってくださる人やお客様と向き合う時に私が何をしているかというと、関わってくださる人やお客様と私との間に起きている「事象」に注目しています。その事象について、「こういう事実があった」という事をまず認めます。その上で、「その人がどうしたら心地よく働けるだろうか」とか、「どうしたらその人の才能を発揮できるだろうか」とか。お客様の場合には、「どうしたらお客様のその課題を解決できるだろうか」、「私には一体何が出来るだろうか」、と言う事を考えています。
     これは、つまりその方々に向き合っているようで、実は自分自身に向き合っているのではないかと感じています。
  • Q.4.これからやりたいと考えていらっしゃる事は、どんなことでしょうか?
    A.澁谷様:コーヒー販売のみに、今後はこだわっていくつもりはないんです。
     この先はWell-Beingなチームを作っていきたいと思っています。香福屋を中心に「働く」、「生きる」を語る場、Well-Beingな関係性や場を提供できたらいいなと考えています。

     「そのとき、そのときの環境にあわせて、それぞれが自分らしく」が私にとってのWell-Beingだと今は考えていて、そこに向けて今も動いている所です。
     具体的な目標はまだ描けていませんが、自分に届いた小さなご縁を一つずつ紡いで、いつか大きな旗になっていたらいいなと思っています。

One Viewpoint
 私(インタビュアー)の「皆さんの知見を集めて、ひろげる」という目的のために、澁谷さんは「どうしたら、あなたに貢献できるだろうか?」と多くの経験と知見の引出しの中身を手に取る様に、真摯に穏やかに私と向き合ってくださいました。
 「手放すって本当に怖いのよ」と自分がいかに握っているものを手放せないか、と言う事を笑い話を交え話す澁谷さん。その色々な想いを手放した先に、「縁」から紡ぎ続けた大きな旗を、しなやかに振っている澁谷さんの姿が見える様な時間でした。

2023/9/6