相手と自分は常に5対5、人を笑顔にするために日々向き合う

PROPE+
オーナー 大岡 聖武様 

ご経歴

 美容専門学校卒業後、岡崎市や、豊田市のサロンで技術を磨きながら、各種大会に出場し数度の受賞歴を重ねる。先輩スタイリストが独立後に立ち上げた店舗の、2店舗目の店長に抜擢される。6年の店長経験後に、現在のPROPE+をスタイリストの藤原さと様(奥様:以下さとさん)と一緒に立ち上げ、2019年には2店舗目のRQUWAを出店。2024年2月6日にはスパサロンUTERUS(ユーテラス)のオープンを控えている。
 お客様もスタッフも笑顔にするために、人と向きあい続け、考え、行動を続けている。

  • Q.1.Hair design works PROPE+を開業されるまでに至る経緯をお伺いします。
    A.大岡様:高校生の時にイメージしていた「サラリーマン」は、服装、ヘアスタイルにも制限があり魅力的に思えず、美容的な制限が無い職業は何だろうと考えていました。そんな時に、岡崎市の美容師さんを紹介してもらいました。その方は凄く楽しそうに働いていて、有名な美容師の大会に出場を重ねている人でした。その方と会った事で、美容師になる事を決め専門学校に入学しました。厳しい専門学校を卒業後は自分自身が通っていた岡崎市の美容室に就職しましたが、ひたすら毎日シャンプーをするばかりで、20歳の自分が年上の女性を相手に何を、どう接客したらいいかも判らずにいました。当時は、(この店じゃだめだ)と、店のせいにしていましたね。
     
     それを1年経験後に、豊田市の別の美容室に転職しましたが、そこもスタッフには厳しい店で、経験としては2年目の自分も、また新人と同じところから始める事になりました。
     そこで出会った年下の先輩が、とても生意気な人だったのですが、休日は講習に行ったり、美容師の大会に出たりするような、努力をする人でした。その人にはどうしても負けたくない、と毎日12時まで練習を重ねたりしました。その時、のちに結婚する、さとさんに「コンテストに出たいので、協力してほしい」とお願いしました。当時自分の能力は判っていたつもりだったので、大会に参加する事しかイメージ出来ていなかったのですが、既に自分よりも美容師としても経験があり、大会でも受賞歴のある、さとさんからは、「出るからには、取るでしょ!」と言われ、結果的には、憧れの全国大会に出場するが出来ました。
     さとさんは、本当に僕の人生を変えてくれた人です。美容師になって3年目で、全国大会に出場出来たという経験をした事で、こんな自分でも、「やってみよう!」と思えるようになりましたね。やはり、「ただ参加する事」が目標の人と、「受賞する事」を目標にする人では’詰め‘、例えばモデルの選び方、衣装の選び方等が全く違うと言う事を彼女から学びました。

     豊田市のその転職先も大型店だったので、後輩が多数入ってきても多くが辞めていく中で、一緒に陰口を言うよりもボス(社長)との懸け橋になろうと、人との関り方をいつも考えていました。また、終業後にボスが講師を務める講習に全て同行しながら、参加者が話を聞いてくれない時の講師の気持ちを推し量ったり、ボスの経営手法を観察したりもしていました。

     自分の店を出す夢は持っていたのですが、その時点(美容歴6年目)ではまだ経営者としてのノウハウも、美容師としてのスキルも不十分だという想いから、ボスには正直に「もっと上手くなりたいです」と退職を申し出ました。当時他店で働くさとさんからも、高い技術レベルの話も聞いていました。その頃、のちに自分の師匠となる村瀬さんが2店舗目を出店すると聞き、その店に転職を決めました。
     すると、いきなりその2店舗目の店長を自分が任される事になりました。これもさとさんが、僕の事を色々と村瀬さんに紹介してくれていたからだと思います。

     2店舗目のその店のスタッフは全員中途採用で、自分よりも経験も年齢も上のスタッフもいました。その上、各メンバーの持つ「店長に対するイメージ」、「店長の仕事の定義」が全員違い、(店長って何だろう?)と本当に毎日悩み、苦労しましたね。僕は根が真面目なんで、店の終了後に毎日、「今日の僕は何がいけなかったでしょうか?」とノートを持って師匠(村瀬社長)に訊いていました。
     ある時、コンビニに行く師匠に向かってスタッフが、「私のお茶も買ってきて!」と言った時は、絶対おかしいと思ったので「あれは何なんですか!」と思わず聞いたんです。その時に、師匠が「自分は美容師でなければ何でもない。そんな事は気にもならない。」と、言われたのを聞いて、(なるほどこんな社長もいるのか!こんな人になりたい!)と本当に師匠に憧れましたね。その店のスタッフは、本当に誰一人辞めないんですよ。
     
     それからは、師匠の真似ばかりしていました。師匠は独立する前からNo.1のスタイリストで、センスはあるし、売り上げもダントツで僕にはマネが出来ないんですよ。でも、自分も社内コンテストに出れば、出る度に賞を取っていたので、ある意味天狗になっていました。しかし、有る雑誌製作の機会に、自分より後輩の子がやったプレゼンの世界観が、自分よりも明らかにセンスが良かったんです。でも、自分は店長で、彼女はまだアシスタント。自分の負けず嫌いも影響して大喧嘩するほど、揉めたのですが、師匠の口癖である「常に5:5だぞ、フラットに保て」というのを思い出した時に、彼女にまず謝り、彼女の世界観を表現するために、サポートに徹しようと決める事が出来、本当に全力でサポートしました。
     
     結果、彼女は東海予選を通過し、全国大会で優勝しました。それを聞いた時は、驚くと共に本当に悔しかったのですが、(ここで悔しがってもカッコ良くないな)と思い直して、その子の優勝写真の額を入口に掲げ、お客様全員に対して彼女が優勝した話をしました。僕のその姿を見ていた師匠から、「お前は本当に凄いな。俺には絶対にあれは出来ない」と言われたのです。それまで、自分は常に先頭を歩く師匠の様になりたかったのですが、(あぁ、師匠も僕の様に成れない事があるんだ)と気が付きました。その時にみんなを後方から支援・マネージメントする事が、自分のやり方かなというのが判りましたね。
     
     師匠の村瀬さんには様々な事を、本当に濃密に学ばせていただいたと思っています。そういう店から、今後独立する人はいったい何をすべきかを考えました。僕がやった事は、この店で自分を指名してくださっていたお客様すべてを後輩に引き継ぐと言う事です。多くの独立する人は、自分が新規開業する店に、自分を指名してくださるお客様も着いて来て欲しいと思って、意外と引き継ぎをする人はいないんです。だからこそ、後輩に対しても独立する時にはこういう風にやるんだぞ、と示す意味もありましたね。
     師匠には、自分も成長し続けることで、今後恩返しが出来ていけるといいなとも思っています。
     
  • Q.2.大岡さんが、お店を経営される上で大切にされている事は、どんなことでしょうか?
    A.大岡様:以前に働いた店で社長や先輩を観察してきて、その時には(あんな人には成りたくない)と思っていたにも関わらず、多くの人はその嫌っていたはずの人になってしまっているんです。丁度その頃、スタバの現CEOの方の本や、Yoube大学で中国の昔の皇帝の話を知って、(何でだろう、こうすればいいのに)と思っていた自分の考えが言語化出来たんです。そこには、「必ず自分のそばに自分を注意してくれる人を置く事、更にその注意を聞ける自分でいる事」と在りました。その2つ目の注意を聞ける自分、何でも言ってもらえる人である事、については自分がいつも心掛けていた事でした。その為、自分を注意してくれた人には必ずお礼を言っていました。
     
     僕は裏と表で言われる事が違う、と言う事がとても気持ち悪くて、裏表のない関係を作りたいとずっと思ってきました。そもそも自分なんて大したことはない、みんなの方が凄いと本気で思っているんです。例え色々と言われたとしても、言ってくれて本当に有難う、って思っているんです。だからこそ、言いやすい関係、言ってもらえる事を本当に大事にしています。トップに立つと、耳の痛い事なんて誰も言ってくれなくなるじゃないですか。
     
     自分がリーダーを選ぶポイントもそこですね。スキルが凄いとか売り上げが多い人よりも、人の為に時間をどれだけ使える人か、いい人であるかというポイントを見ていますね。「いい人」というのは、もし、その人自身に何かできない事があっても、「いい人」であれば、周りの人が必ず支えてくれるからです。
     
     あと、うちをやめていく時に、何が原因で辞めていくかを本音で言ってもらう事にしています。ホワイト企業(ブラック企業ではない意味)として続けていく為にも、原因と言われた事は必ず改善し続けてきて、今年で創業11年目です‼
     
  • Q.3.お客様だけではなく、多くの仕事仲間と日々向き合ってこられています。大岡さんが「人と向き合うとき」に、どんな事を大切にされているのでしょうか?
    A.大岡様:自分が独立する際に最後に師匠から言われたのは、「どれだけ人と向き合えるか、だぞ!」という言葉でした。それは、今でも自分の中に非常に強く残っています。
     スタッフに「向き合うって何だろう?」と言う事を説明する時に、自分にはよく理解できない考え方の人、わからない人に対して、怒るのではなく「どんな気持ちなんだろう」とか「何でそうなっているんだろう」と聴く事なんだよ、と伝えています。だから、「人と向き合う」とは、どれだけ自分の理解できない人の話を聴けるかという事なんです。
     多くの場合は、変な人だ!とかあっちが悪い!という様に決めつけてしまう事が多いと思うのですが、その人の話をよく聴いてから判断する事だと思っています。自分が間違っているかもしれないですよね。これも、師匠の言葉「常に5:5だぞ、フラットに保て!」という所からきてますね。
     
     人との関り方も含め多くを学んだ師匠と奥さんには頭が上がりません。(笑)
  • Q.4.今後ご自身がやりたい事はどんなことでしょうか?
    A.大岡様:自分はボランティアが出来ないんですよ。
     実は、僕の夢は、自分の葬式に沢山の人が来てくれて、自分の息子に親父の凄さを語ってくれる事なんです。と、いう事は結局、「自分の為」に自分の葬式に来て息子に親父を語って欲しいから、僕は人に優しくしているだけなんです。全部、「自分の為」なんです。
     最初に「ボランティア」と言ったのは人の為だけには出来ない、と言う意味です。それでも、以前の店で競い合った才能の有る後輩とか、自分でスパを立ち上げた後輩とかが、訪ねて来てくれたり、一緒に仕事をやってくれたりと今でも関りを持ち続けてくれているのは、本当に有難いなと思っています。人に優しくしておいて、本当に良かったです(笑)
     
     これからも人と向き合い続ける、突き詰めると自分にはこれしかないな、と思っています。さとさんの様にスキルも、コミュニケーション能力、憧れられる才能、カリスマ性とかは自分に無いですからね。だからこそ、この役割がこの店には必要だし、自分に合っているなと思っています。
     
     スタッフにはずっとこの店にいて欲しいと考えているので、年齢的な事で現場に立ち続けられなくなった、とかスタイリストとしては難しい等の時に、マネージメント等、他の立場ややり方でこのPROPE+に携わり続けていける道も準備してあげたいなと考えています。何と言っても、本当にみんなホスピタリティーの高い子ばかりなので。
     
     結局、人に喜んでもらう事が好きなんです。色々なストレスや疲れも人の喜んでいる顔を見ると、一番スッと解消するんですよね。絶対一人では面白くないんですよ。そういう意味で、今、やりたい事が出来てますね! 

One Viewpoint
 「自分は本当に大したことないんで」、と常に謙虚で周りの方々に惜しみない称賛を送り続け、一方で師匠や仲間を観察する事で、自分には何が出来るか、どうすれば目の前の人を笑顔に出来るのかと大岡さんは、問い続けていらっしゃいます。模索しながら見つけた「後方からみんなを支援するマネージメント」。常にスタッフに対してオープンで何でも聞きやすい雰囲気創りが、私達顧客にとっても、非常に心地よい空間になっていました。

2024/1/25